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2016/03/05

ABS樹脂同士の勘合は難しいんですよ?

Fi-Dia Block(s)ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)という樹脂製です。
ABS樹脂は一般グレードでもある程度の弾性を持っています。
「弾性」は勘合や保持力にとって重要なキーワードです。

 

また、Fi-Dia Block(s)ボールジョイント式のブロックトイです。
実は、♂ボールジョイントの径と♀ボールジョイントの径は同じ寸法ではいけません。
少しキツイ(♀の径よりも♂の径の方が微妙に大きい)くらいでないとジョイントがユルユルになってしまいます。
逆にキツすぎると♀ジョイントがどんどんヘタってしまい、すぐに緩くなってしまいます。

 

それではFi-Dia Block(s)の金型がどれくらい大きくなっているかというと、これは企業秘密です!

 

というのは冗談で(^_^ゞ、Fi-Dia Blodk(s)の金型は♂ジョイントはφ5+0.02、♀ジョイントはφ5-0.02~+0を狙って作られています。

 

しかしパーツの形状やフレーム内のパーツの位置、ゲートの位置/形状、成形時の条件など様々な要因によって毎回同じ寸法で成形することはとても難しいものです。

 

樹脂成型品にとって0.01mmの公差で寸法を維持するというのはかなり厳しいものです。
直径が0.01mm違っただけで、ボールジョイントの勘合フィーリングはかなり違うのですよ!

 

私たちはフィーリング維持のために、金型の精度はもちろんのこと、パーツの設計や成形にも細心の注意を払っています!(宣伝^_^

 

さて、Fi-Dia Block(s)の前身のKONI-1フレームはかなりジョイントが固いと思います。
ブロックトイを始めた頃はABS製のボールジョイントの難しさが分らず、♂ジョイントを大きく作りすぎてしまいました。
KONI-1フレームの金型は後にFi-Dia Block(s) Opt.001へと改造されるのですが、この際にジョイントが固すぎるパーツの形状を変更したり、♂ジョイントをすべて加工し直したりしました。
金型でパーツを小さくする改造は、これまたナカナカ大変なんです…(^_^ゞ

 

また、♀ジョイントの周りの形状によってもジョイントの強度が違ってきます。
台座用フレームであるFi-Dia Block(s) Etc.001の一部の♀ジョイントは非常に固く、♂ジョイントの軸がちぎれることがあるくらいです…スミマセン(´-ω-`)
この一番の原因が「♀ジョイント回りの形状が丈夫過ぎる」ことです。
♂ジョイントや♀ジョイントの径にほとんど違いはありません。
ただ台座ですから緩くなるとまったく意味が無くなってしまいますので修正していません。。
判断が非常に難しいところです…

 

ところで、プラモデルのジョイントで一般的に使われているポリキャップと同じ樹脂でブロックトイはできないものでしょうか?

 

ポリキャップで使用されている樹脂はPE(ポリエチレン)です。
PEはゴムのように柔らかい樹脂です。

 

プラモデルでは、一方のパーツ(硬い樹脂製)の穴にポリキャップを差し込み、ポリキャップの内側に他方のパーツの軸(こちらも硬い樹脂製)を差し込みます。
つまり、二つのパーツでポリキャップを挟み込んでいるのです。
こうして軟らかい樹脂でもしっかりとした保持力を実現しています。

 

しかしブロックトイのジョイント部は♀ジョイントに♂ジョイントを差し込みます。
二つのパーツで挟み込まないので、PE製の♀ジョイントは簡単に大きくなってしまいます。
♀ジョイントが簡単に大きくなってしまうということは、つまり緩いということです。

 

PEはブロックトイのジョイント部に使うには軟らかすぎるので、採用しませんでした。

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