今日は部品表(BOM=Bill Of Materials)の作成をしながら金型図面の清書をしました。
一般の方も雑誌等で金型を見たことはあるかもしれませんが、金型の図面を見る機会はほとんどないと思います。
世の製造業は3次元化が進み、私たちも3次元CADシステムで設計や製造をしていますが、まだまだ2次元の図面も使うんですよ!
昔のように詳細な寸法を書き込むことはありませんが、加工データ作成時に2次元のCADデータを使います。
さて金型図面には色々な情報が書かれていますが、金型に特有な項目をいくつかご紹介したいと思います。
1.突出しピン
金型には成形時に成形品を金型から外す機構が必要です。
極まれに「手で掴んで取りだす」こともありますが、一般的に使われているのは突出しピンです。
金型図面にはオレンジ色の十字塗り円で表現しています。
突き出しピン(EP=Ejector Pin)にもいくつか種類があって、今回はストレートEP、段付きEP、スリーブEPを使っています。
ストレートEP(画像左)は文字通りまっすぐな突出しピンです。
ランナー部や製品部、♀ジョイントの中央にも設置されています。
段付きEP(画像中央)も言葉通り段が付いた突出しピンで、細い突出しピンが必要な場合に利用します。
金型図面の画像には写っていませんが、直径1.5mmの突き出しピンに段付きEPを採用しています。
スリーブEP(画像右)はSleeve(袖=筒)状の突出しピンです。
スリーブEPの中央にはセンターピンという固定された(動かない)ピンがあり、筒形状で成形品を突き出します。
タッピングスクリュー(ネジ)用ボスなど成形品の筒形状部分の突出しに利用します。
2.コアピン
コアピンは「複雑な断面形状を持っている固定されたピン形状のもの」を指すことが多いと思いますが、私は面倒なので「固定されているピン形状の部品」をすべてコアピンと呼んでいます(^_^ゞ
金型図面ではグレーの十字塗り円で表現しています。
前後の胴体パーツを位置決めするためのボスと穴の、成形品の直径1.5mmの穴を作る部分をコアピンにしています。
後々穴径の調整をしたり、破損した時に修理しやすくするためにこうしています。
また、別の部品にした方が加工しやすいんです。
ちなみに金型図面のグレーの×塗り円はボルトを表しています。コアピンではありません。
次に説明するサポートピラを固定するためのボルトです。
またスリーブEPと組みになっているセンターピンは、固定されているのでコアピンと同じ表記にしています。
3.サポートピラ
金型にはにコア側の型板と取付板の間に突出し板が動くための大きなすきまが空いています。
金型は金属でできていますが、成形時にはものすごい圧力で締められているため、すきまがあると歪んでしまいます。
どれくらいすごい圧力なのかというと、鉄でできた金型を曲げてしまうほどです!<説明になっていない…(´-ω-`)
まぁ普通に生活している限りは体験できないほどの強烈な圧力です。
突き出し動作のためのすきまは必要ですが、金型が歪んでしまっては精度の高い成形品を作れないばかりか、金型がパックリ割れてしまいます!
そこでサポートピラと呼ばれる突っ張り棒(^_^)を設置します。
サポートピラは突出しピンなど他の金型部品と干渉してはいけません。
またサポートピラをたくさん設置すれば良いというものでもありません。
サポートピラを設置するためには突出し板に穴を開けますが、サポートピラをたくさん設置しすぎると突出し板が穴だらけになって弱くなってしまいます。
アジアの巨大な国の金型にありがちです(-_-;)
最低限のサイズのサポートピラを少数、バランス良く配置するのが金型設計者の腕の見せ所です!
Fi-Dia Block(s)の金型は少し特殊な構造をしているので金型の端に最低限二つのサポートピラが必要です。
さらに追加で3ヶ所にサポートピラを設置しています。
4.銘板の彫刻文字
金型の基本は「金型は反転された形状が加工されている」ということです。
製品の形状はもちろん、文字も反転されて金型に加工されます。
つまり、こういうことです↓
Fi-Dia Block(s)の銘板は社内で加工していますが、より細かな図形や文字を美麗に加工したい場合は文字彫刻専門業者にイラレデータや版下を渡して加工を依頼します。
家電品のロゴマークなどでは、以前は紙の版下が支給されることもありましたが、最近はデータ入稿が多いですね。
いかがでしたでしょうか?
なお上記の金型図面への記載方法は私個人のルールで、一般的なものではありません。念のため。
それでは、今日はこの辺で…(^_^)/~